【海快晴の実釣レポート】東京湾でのミニボート釣り ~その4~

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皆さん、こんにちは。気象予報士の竹内です。

海快晴にリアルタイム風予報が搭載され、ますます釣りの気象予報に活用できるようになりました。
そんな海快晴を活用した釣りの実釣レポートをお届けします。
今回で4回目になります。

まず最初に『リアルタイム風予報』のおさらいをします。

 リアルタイム風予報って何?

気象庁の局地予報モデル(LFM)を搭載し、予報の精度が向上しただけでなく、予報が毎時アップデートされる点が特徴として挙げられます。

・『局地』という名の通り、これまで予測が難しかった局地的な風を計算しています(計算している水平格子間隔が2km)。
・予報が1日24回アップデート(つまり毎時アップデート)しているので、常に最新の予報が確認できます。

LFM

リアルタイム風予報の予報時間は10時間先までと期間こそ短いですが、行動時間はほぼカバーできるため、刻一刻と変わる現状とその予測をいち早く確認することができ、出発前の判断だけでなく、釣りの行動中にも活用することが可能となりました。

リアルタイム風予報は、風にシビアな釣りに非常に便利です。

ミニボートやプレジャーボート、カヤック・SUP、アジングやエギングなどのライトタックルでの陸っぱりには是非活用していただきたいと思います。

釣行当日の気象状況

釣行した日は2021年10月24日。前日(23日)と当日(24日)の天気図がこちら。(引用元:気象庁)

 
23日9時天気図 24日9時

前日の23日は西高東低の冬型の気圧配置となっていて、日本海側は寒気の影響で曇りや雨(雪)となり、近畿では木枯らし1号が吹きました。その後、徐々に大陸から高気圧が進んできて、釣行当日の24日は本州付近では冬型の気圧配置が緩んできています。

天気図だけ見ると関東付近は等圧線の間隔も広く、一見風も穏やかそうですが、ここが気象の難しいところで、実は23日の夜から関東エリアでは北東風が吹いていました。

3回目でも書きましたが、関東では高気圧が少しでも北に偏ると北東寄りの風が吹きやすくなります。

当日朝に確認したリアルタイム風予報がこちら。(エリアは第二海堡の近辺)
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リアルタイム風予報によると、午前中は北東寄りの風が5~6m/s吹きつつも、昼頃から弱まり、15時頃には凪いでくる予想となっています。
この画面キャプチャは朝の7時31分に撮ったものですが、予報の更新時刻は7時30分となっており、更新ホヤホヤの情報です。

気象予報というものはその性質上、予報してから時間が経てば経つほどズレが大きくなっていきますが、リアルタイム風予報は1時間に1回更新していますので、予報を見るタイミングに関係なくズレの少ない予報となります。

ちなみに海外の予報モデルであるECMWF(欧州中期予報センター)とGFS(アメリカ海洋大気庁)は6時間に1回の更新頻度です。

また、北東風が弱くなるタイミングを正確に予測できるかどうかは、数値予報モデルの腕の見せどころと言えます。

リアルタイム風予報は計算の水平格子間隔が2kmと、海外の予報モデル(ECMWF:9km、GFS:20km)と比べても細かいため、局地的な予報の精度が高く信頼できる予報です。

ちなみに朝の風速6m/sは、出ようとしている横須賀の手漕ぎボートエリアではギリギリの風ですが、リアルタイム風予報では徐々に北東風が弱まる予報のため、出港判断しました。

手漕ぎボートでの実釣レポート

さて、今回の釣行も神奈川県横須賀市の京急大津港にあるまるまつ丸にお世話になりました。

通常、船からのルアーでのタチウオ釣りはジギングが一般的ですが、この日はワインド釣法で狙ってみました。
ワインド釣法は通常、陸っぱりからのタチウオ釣りのメソッドで、1/4oz~1ozぐらいのジグヘッドにワインド用のワームをセッティングします。

ワインド

キャストしボトムまで沈めて、ロッドでしゃくるアクションを入れると、ワームが水中で跳ねるような動き(ダートアクション)をします。
タチウオは活性の高いときはこのダートアクションが良く効きます。

また、ジギングは真下の釣りになりますが、ワインドはキャスティングするので横にも探ることができます。
船からワインドをやるときは陸っぱりよりも水深があるため、ジグヘッドのおもりを1.5ozぐらいにします。これで水深20~30mまでは対応できます。

魚探でベイトを探しつつキャストしていると、ゴツンと引ったくっていきました。

魚2

再びゴツン。

魚1

そうこうしていると午後になり、予報通り風も凪いできて納竿としました。
トータルの釣果はこのような感じです。

魚3


リアルタイム風予報の検証

朝時点のリアルタイム風予報と、風の実測値(海上保安庁の「海の安全情報」より)を比較してみました。
左がリアルタイム風予報、右が海上保安庁の実測値です。

 
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12時ぐらいまで6m/s前後の北東風が吹くこと、そこから風が弱まり、15時頃には凪ぐことが事前に予測できていたことがわかります。

こうした風が変わるタイミングは、予報モデルの計算格子間隔が細かいほど、また予報の更新頻度が高いほど、より正確に予測ができます。
リアルタイム風予報は出発前の釣行判断や、釣行中の最新状況・予測の把握にとても便利です。

また、同じ日の横浜のアメダスの風がこちらです。(引用元:気象庁)
横浜の風

これを見ると、横浜では全体的に風速が弱く、凪ぐ時間も違っているのがわかります。

横浜と第二海堡は直線距離にして20kmほどしかありませんが、少し場所が異なるだけでも風はまったく違うため(特に海上と陸上とでは雲泥の差があります)、釣りに行く際は海専門の気象情報を見ることを強くお勧めします。

今後も海快晴を利用した釣果報告を行っていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

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