【海快晴の実釣レポート】東京湾での手漕ぎボート釣り ~その3~

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皆さん、こんにちは。気象予報士の竹内です。

海快晴にリアルタイム風予報が搭載され、ますます釣りの気象予報に活用できるようになりました。
そんな海快晴を活用した釣りの実釣レポートをお届けします。

今回は3回目になります。過去の記事はこちら ⇒ 1回目 2回目

まず最初に『リアルタイム風予報』のおさらいをします。

 リアルタイム風予報って何?

気象庁の局地予報モデル(LFM)を搭載し、予報の精度が向上しただけでなく、予報が毎時アップデートされる点が特徴として挙げられます。

・『局地』という名の通り、これまで予測が難しかった局地的な風を計算しています(水平格子間隔2km)。
・予報が1日24回アップデート(つまり毎時アップデート)しているので、常に最新の予報が確認できます。

リアルタイム風予報の予報時間は10時間先までで、刻一刻と変わる現状とその予測をいち早く把握することができ、出発前の判断だけでなく、釣りの行動中にも活用することが可能となりました。

リアルタイム風予報は、風にシビアな釣りに非常に便利です。
カヤックやSUP、手漕ぎボートやミニボート・プレジャーボート、アジングやエギングなどのライトタックルでの陸っぱりには是非活用していただきたいです。

釣行当日の気象状況

釣行した日は2021年10月10日。朝6時の地上天気図がこちらです。(引用元:気象庁)
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北日本の東海上には東進している高気圧があります。
高気圧は中心から時計回りの風が吹いているので、高気圧が北に偏っている場合は関東(釣り場が関東のため、関東の気象について解説します)では北東風が吹きやすくなります。
元々北にある空気なので気温が低く、かつ海水温の低い親潮の影響もあり、肌寒い天気になります。

茨城沿岸や九十九里、東京湾などでは北東風の影響を受け、波が上がることがあります。
大きく荒れることは少ないものの、カヤックやSUP、ミニボートは転覆や流されて遭難することもありますので、高気圧が北偏している場合は北東風に注意が必要です。

この北東風は背の低い風(比較的低層で吹いている風)のため、関東山地で堰き止められて、伊豆半島の方に抜けていきます。
言い換えると、北東風は地形の影響を強く受けるため、数値予報の計算格子間隔が細かいほど地形の影響を計算でき、予測精度が高くなります。
他の風予報サイトでは格子間隔が10km程度のものが多い中、リアルタイム風予報は局地予報モデルのため計算格子間隔が2kmと非常に細かく、ピンポイントの予報精度が向上しています。

当日朝の釣り場付近のリアルタイム風予報がこちら。
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朝9時頃までは北東風が残りそうなものの、徐々に北東風が弱くなり、昼過ぎには南風に変わる予報となっています。
これは、高気圧がさらに東進し、時計回りに吹いている南風エリアに入ることを予測しています。
北東風が弱くなり南風に切り替わるタイミングを正確に予測できるかどうかは、数値予報モデルの腕の見せどころと言えます。
ちなみに朝の風速7mは、出ようとしている横須賀の手漕ぎボートエリアではギリギリの風です。
リアルタイム風予報では午前中から徐々に北東風が弱まる予報のため、出港判断しました。

手漕ぎボートでの実釣レポート

さて、今回の釣行も神奈川県横須賀市の京急大津港にあるまるまつ丸にお世話になりました。
港から出てすぐがタチウオのポイントです。
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魚探はガーミンのストライカープラス5cvを使っています。
バッテリーや振動子の取り付け方は別の回で解説したいと思いますが、この魚探は一度船で通った場所の水深を記録でき、自分だけのオリジナル水深マップが作成できます(魚探画面の左半分)。
釣りにおいては水中の地形が非常に重要ですので、このオリジナル水深マップはとても役に立ちます。
SUPで釣りをする際もこの魚探を活用しています。

さて、オリジナル水深マップを活用し、この付近の最深部からかけ上がりにかけてジグで狙っていると早速反応してきました。

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その後、予報通り北東風が凪ぎ、絶好の釣り日和になってきました。

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そこでポイントを大きく移動し、さらに沖に出てアジを狙うことにします。
ここ横須賀のアジは、東京湾の速い潮で育った脂ののったアジで、黄金アジとも呼ばれています。
陸からでは大きくても25cmぐらいまでしか釣れませんが、船に乗ると回遊性の尺アジ(30cm以上のアジ)が釣れ、大きいものだと40cmを超えるものも釣れます。

仕掛けを投入するとすぐに尺アジが食ってきました。

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何匹か尺アジを釣ることができたのでこの日は納竿にしました。
トータルの釣果はこのような感じです。

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リアルタイム風予報の検証

朝時点の第二海堡のリアルタイム風予報と、第二海堡での風の実測値(海上保安庁の「海の安全情報」よりキャプチャ)を比較してみました。
左がリアルタイム風予報、右が海上保安庁の実測値です。

 
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比較すると、リアルタイム風予報は北東風が弱まる時刻と風速を見事に当てていました。ほぼ実測に近い数字を予測しています。
また、南風に切り替わる時刻もおおよそ15時頃と、こちらも当てています。
地形の影響を受けやすい風の予測は、リアルタイム風予報の得意な領域ですね。

リアルタイム風予報は毎時更新しているため、出発前の釣行判断とその行程の検討、また釣行中も都度確認して風の切り替わるタイミングを把握するのにとても便利です。

今後も海快晴を利用した釣果報告を行っていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

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