台風・熱帯低気圧・温帯低気圧、違いはいったい何?

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今回は台風・熱帯低気圧・温帯低気圧の違いについて説明していこうと思います。
この3つは「台風と熱帯低気圧」、「温帯低気圧」と分類することができます。


「台風」と「熱帯低気圧」

「台風」は「熱帯低気圧」の一種です。
気象庁のホームページでは、以下の様に説明されています。

熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。

少し難しく感じますが、簡単に言うと「熱帯低気圧」のうち、最大風速が17m/s以上のものが「台風」ということです。
分類の基準が「最大風速」である点がポイントですね。
イメージ的には「イナダ」と「ブリ」のような関係でしょうか。

「台風○号は熱帯低気圧となって……」と書かれていた場合、「最大風速が17m/s未満になったんだな」と考えればいいわけです。
(魚ではありえませんが、「ブリ」から「イナダ」になった、というイメージです。)


「熱帯低気圧(台風)」と「温帯低気圧」

では、「熱帯低気圧(あるいは台風)」と「温帯低気圧」はどう違うのでしょうか。
この2つの分類は、「低気圧の構造」に着目する必要があります。

「熱帯低気圧(あるいは台風)」は暖かい空気のみで構成された低気圧です。

熱帯低気圧や台風は暖かい海面から供給された水蒸気が凝結して雲粒になるときに放出される熱をエネルギーとして発達します。
熱エネルギーが全体で放出されているため、周囲より暖かい空気で構成されているのです。

したがって、「前線(=性質の異なる空気の境界が地上と交わる線)」がありません。
201808170900JST

(気象庁HPより)

こちらは2018年8月17日の天気図です。
華中にある「TS 1818 RUMBIA」や日本の南にある「STS 1819 SOULIK」が熱帯低気圧(正確には「台風」)です。
等圧線が円形で、前線がないことがわかります。
この図から「暖気のみで構成されている」ことはわかりませんが、前線がないということは同じ性質の空気で構成されているといえます。

※「TS」や「1818」、「RUMBIA」などの表記に関しては、また別の機会に紹介していきます。

「熱帯低気圧(あるいは台風)」が暖かい空気のみで構成された低気圧であるのに対し、「温帯低気圧」は暖かい空気と冷たい空気で構成された低気圧です。
上の天気図では北海道の東の海上に前線を伴った「L」が書かれており、これが温帯低気圧です。
暖かい空気と冷たい空気を含むため、「温帯低気圧」には「前線」があります。

熱帯低気圧が発生する地域に比べ、日本付近は冷たい空気が分布しています。
この比較的冷たい空気が暖かい空気で構成されている台風に入り込むことで、「温帯低気圧」となるのです。

先ほどは熱帯低気圧を「イナダ」、台風を「ブリ」と例えましたが、これに対して温帯低気圧は「サケ」のようなイメージでしょうか。
熱帯低気圧や台風とはまったく別物ということです。

「台風○号は温帯低気圧となって……」と書かれていた場合は「前線がある低気圧になったんだな」と考えればいいわけです。
(魚ではありえませんが、「ブリ」から「サケ」になった、というイメージです。)

ただし、注意しなくてはいけない点があります。
「温帯低気圧に変わった」というと勢力が弱まった印象を受けますが、「台風」と「温帯低気圧」の分類基準は「最大風速」ではなく、あくまで「構造の変化」です。
台風と同じくらいの勢力のまま温帯低気圧に変わることもあれば、温帯低気圧となって勢力を弱めた後、急速に発達することもあります。

温帯低気圧に変わった後も油断せず、常に最新情報をチェックしましょう。

図1

(気象庁HPより、加工して作成)

文責:株式会社サーフレジェンド 気象予報士 塚本 陸

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