波伝説☆加藤のコラム【所持品の防災対策してますか!?Vol.1】

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 私のお義父さんは、もう80歳後半になりますがとても元気です。そのお義父さんは、出掛けるときにはいつも飴(あめ)を持参していて、家族で行動する際にはいつも配っています。お義父さんが大学生時代に戦争を経験していますが、いつも持参している飴は、きっと万が一の災害発生時を意識しているのだと思います。

 冒頭から私事が続いて恐縮ですが、かつて私はライフセービング関係の資格を毎年ひとつ以上取ることを10年間くらい自分に課した時期がありました。また、災害現場の経験を積むために、阪神淡路大震災、ナホトカ号重油流出、新潟中越地震、そして東日本大震災などに、災害救護ボランティアとして参加してきました。そのような経験と知識を、最近では人に教える立場になることが多くなり、もう一度基礎からきちんと学びたいと考え、この夏の二か月間、防災士、防災救護ボランティア、普通救命講習会(藤沢消防)、同上級救命講習会を2回(横浜消防と藤沢消防)、応急手当普及員(藤沢消防)などの講習会を駆け足で受講してきました。

 結果的に、人へ好感を抱かせる接し方や、分かりやすい教え方・話し方などについて、自分の未熟さを痛感させられました。また、交通機関、例えば電車内で大地震に遭遇した場合や、たまたま東京などの都市に出張中に被災した場合に対する事前の準備は、まったくできていませんでした。いつも持っていたのはお義父さんに学んだ飴1箱くらいです。

 いま私の通勤バッグの中には、水500ml、飴1箱、100円均一で買ったLED超小型懐中電灯、使い捨てトイレ、三角巾(きん)、救急ばんそうこう、消毒薬、人工呼吸のための感染防止用フェイスシールドとゴム手袋、防塵(ぼうじん)マスク、食品用ラップフィルム最少(ラップのことです)、ホイッスル、方位磁石、ライター、そして防護ゴーグルなど、沢山の防災グッズが入っています。その中の食品用ラップフィルムとありますが、止血時に三角巾などを傷口に当てて上からそのラップフィルムを巻けば直接圧迫に使えて、また物を固定したりするために何重にも巻けばロープ代わりにもなるし、さらには避難所などでお皿の上にラップフィルムを敷けば、洗うことなく清潔に毎回食べ物をよそえる重宝なものになるからです。

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 なお、防災士の講習会で深刻な事実を知って戦慄(せんりつ)を覚えました。それは、エレベーター(EV)です。大地震の発生と共にEVは自動停止してしまう設定になっているのに対して、それを復旧させる技術者の数は圧倒的に足りないという事実です。通常時のEVのメンテナンス要員はいても、大地震発生後に一斉に止まってしまったEVの中に閉じ込められた何万人という人を、技術者が到着して救出するまでには、“最大で一週間”もかかるのだそうです。いまEVメンテナンス要員の他に、消防士にも研修を施しているそうですが、絶対的に要員が足りません。このことはあまり国民やEV利用者に知らされていない事実だと思いますが、政府はこの事実を公表すると国民がパニックになり、高層オフィスに入る社員は怖くて出勤しなくなり、買い物客は上層階の売り場に行かなくなると考えたからでしょうか!?もしかしたら、3.11の時の『放射能影響予測-SPEEDI-』と同じ扱いかもしれません。ぜひ厳しい事実こそ、その真相を国民に明らかにしてほしいと思います。

 自分は正直に申し上げて、狭い場所が苦手です。閉所恐怖症ではありませんが、狭いEV内に一週間も真っ暗な状態で閉じ込められたら、きっと精神的に耐えられないと思います。

 たまたま乗り合わせたEVで大地震に遭遇しても、同乗者と何とか生き延びられるようにと考えたのが、上記の携行品です。バックが重くなって嵩張(かさば)りもし、また絶対に安全という訳ではありませんが、少なくとも救命確率は上がるはずだし、100円ショップをほぼ使ったので、その支出は少額で済みました。狭いEV内で遺書を書いて生涯を閉じるなんて、考えただけでも虚(むな)しすぎます。

 弊社のすべてのスタッフには、4階以下のEV使用を禁止にしました。本社は2階にあるので、重い荷物の搬出入時を除き、100%スタッフは階段を昇降していますが、東京などへの打ち合わせの時などが問題になります。もしも当社スタッフが大地震に遭遇して、たまたま乗り合わせたEVに閉じ込められても、連絡が取れない状況では救出に向かうことすらできません。つづく。

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