生息地:太平洋、大西洋、インド洋に広く分布(日本では太平洋側に多くみられます)。
体長:浮袋は10cmほど。触手は10m~30mに及ぶ。
初夏のこの時期(5月上旬辺り~)、初ガツオの到来とほぼ同じタイミングで見られるようになるため「カツオの烏帽子」と名づけられました。
カツオノエボシ自体の遊泳能力はほとんどなく、浮袋を使って海面に浮いており、風を受けて移動します。
日本付近で南寄りの風が吹くと、海岸付近まで流されてきます。台風が過ぎた後に砂浜に打ち上げられているところを見たことがある方もいるのではないでしょうか?
このカツオノエボシ、色も綺麗で面白い形をしているので、ついつい触ってみたくなります。
しかし、このクラゲは「電気クラゲ」と呼ばれることもあるほど危険な生き物なのです。
刺されると電撃を受けたような激痛が走り、炎症を起こして患部が腫れあがり、痛みは長時間続きます。
症状は様々で、くしゃみ、せきなどから心拍数の増加、脱力感、呼吸困難まで見られます。
場合によってはアナフィラキシーショックを起こし、死に至ります。
砂浜に打ち上げられて死んでいるように見えるものも、「刺胞(とても小さな毒針)」が破壊されない限り刺されてしまいます。
※「刺胞」は物理的な刺激により発射するため、生死や意思に関係なく刺されます。
目視で刺胞が壊れているかの判断はできませんので、触らないようにしましょう。
※危険部位である触手はとても長い(10m~30m)ため、近づかないようにしましょう。
刺されてしまった場合、まず「海水」で触手を洗い落とします。この時、触手を直接触らないようにしましょう。
砂でこすったり、アルコール、酢、真水で洗い流すと未発射の刺胞も刺激してしまうので絶対にやめましょう。
触手を洗い流したら45℃程度のお湯に浸します。腫れや痛みがひどい場合は水や氷などを使って患部を冷やします。
これらの応急処置を行ったのち、医療機関を受診しましょう。
少しややこしいので「絶対にやってはいけない対処法」と「正しい対処法」を整理してみます。
【絶対にやってはいけない対処法】
・酢をかける
「ハブクラゲ」や「アンドンクラゲ」では酢を使うことが有効といわれていますが、カツオノエボシでは逆効果です。
酢を使うのは「ハブクラゲ」と「アンドンクラゲ」のみです!
・素手で直接、触手を取り除く
取り除こうとした手も刺されてしまう可能性があります。
・砂でこすって触手を落とす
砂を使うと直接触れることなく触手を取り除けそうですが、未発射の刺胞を刺激することにつながるので絶対にやめましょう。
・アルコールや真水を使って洗い流す
砂でこするのと同じで、刺胞を刺激してしまいます。
【正しい対処法】
・海水を使って触手を洗い流す
このとき、あまり刺胞を刺激しないよう優しく洗いましょう
・45℃程度のお湯に患部をあたためる
・腫れや痛みがひどい時には水や氷を使って患部を冷やす
触手を取り除いた後の対処法は2つあります。どちらをやっても構わないので、刺された人に合わせて対処しましょう。
青色なので水中や水面からなかなか見つけにくいクラゲです。
肌の露出を少なくし、周囲に注意してマリンスポーツを楽しみましょう。
なお、新江ノ島水族館の「えのすいトリーター日誌」にカツオノエボシの面白い記事が載っていたので、ぜひ読んでみてください。
えのすいトリーター日誌 『カツオノエボシの魅力その1【体の構造】』
https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=04563
えのすいトリーター日誌 『カツオノエボシの魅力その2【生活サイクル】』
https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=04607
えのすいトリーター日誌 『カツオノエボシの魅力その3【赤ちゃん生まれました!】』
https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=04621