『風がわかれば海がわかる?風を知って海を楽しもう』海快晴気象予報士のコラム vol. 2

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いよいよ本格的な海シーズンが始まりますね!

海は身近に「非日常」を味わえる絶好の場所ですが、一方で毎年のように痛ましい事故が起きていることも事実です。
海上保安庁によると、ここ数年はコロナ禍のアウトドアブームでマリンレジャーを楽しむ人が増え、それに比例して海での事故も増えているそうです。

海で遊ぶうえで大切なのは「風」。
「海快晴気象予報士のコラム」vol. 2では、海に行く際の風予報の着眼点を解説していきます。


海では風が重要

海は天気や気温の他に、風、波、潮汐、潮流など、気を付けなければならない要素がいくつかあります。
その中でも特に重要な要素なのが「風」です。


風が波を発達させる

なぜ波ではなく風が重要かというと、風が波をつくり、発達させるからです。
風が一切吹かなければ波は大きくなりません。

風が吹くと次第に小さな波(いわゆる「さざ波」)ができはじめ、下記の3つの条件が揃うと発達していきます。

①強い風が吹くこと
②同じ風向の風が長時間吹き続けること
③同じ風向の風が長距離にわたって吹き続けること

真冬の日本海に荒れている日が多いのは、「大陸から強い北寄りの季節風が吹き続ける」という上記の①~③をすべて満たしているためです。

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風が海のコンディションに与える影響は非常に大きく、「風が海のコンディションを左右する」と言っても過言ではありません。

見方を変えれば「風の予報が正確に分かっていれば、波浪の状態もある程度予想できる」ともいえます。

風がそれほど強くなくても波が高くなる場合があります。
これは遠くで発生した波が伝わってくる「うねり」の仕業で、太平洋側の「土用波」はうねりの典型例です。

現地の風だけでなく、沖合に発達した低気圧などがないかも確認しましょう。

「うねり」についてはこちらの記事をご参照ください。


沿岸部では特殊な風が吹く

沿岸部では、一般の天気予報ではあまり言及されない、少し特殊な風が吹くことがあります。
「海陸風」と呼ばれる局地的な風で、昼間は海風、夜間は陸風と1日の間で真逆の風が吹くのが特徴です。

海陸風は陸と海の「温まりやすさ」の違いにより発生します。

昼間…海→陸の「海風」

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太陽光が地表面に届くと、その輻射熱で周囲の空気が温められます。
海に比べて陸の方が温まりやすいため、陸上の空気の方が温度が高くなります。
温められた空気は軽くなるため、海上よりも気圧が下がります。
風は気圧が高い方から低い方に吹くため、海から陸に海風が吹きます。

夜間…陸→海の「陸風」

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海風と逆の原理で吹くのが陸風です。
陸地は海面より冷めやすいため、陸上の空気は海上よりも温度が低くなります。
冷えた空気は重くなるため、海上よりも気圧が上がります。
風は気圧が高い方から低い方に吹くため、陸から海に陸風が吹きます。

※ちなみに、海風と陸風が切り替わる朝と夕方は風が弱まります。いわゆる朝凪と夕凪です。
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とても穏やかな夕凪の海

 
なお、海陸風は低気圧などがもたらす風よりもずっとスケールの小さな現象です。
天気図からは読み取りにくいことも多々あります。

①晴れて気温が上がることが予想され②風があまり強くなさそうな気圧配置(※)の場合は、日中の海風を頭の片隅においておくとよいでしょう。

※風の強さは「等圧線の間隔」を1つの目安にしてみてください。等圧線間隔が広いと風は弱く、狭いと風が強くなります。


風の変わり目を見つけよう

風が変わるのは海や天気が変わるサイン

風が変われば海のコンディションも変わります。
次第に風が強くなる予報なら、風向きによっては海が荒れてくると考えられます。
(風の変化に伴って海況が急変するケースは多くあります。)

また、風で変わるのは海のコンディションだけではありません。

風どうしがぶつかり合うように吹く場合は雲ができやすく、大気の状態が不安定であれば積乱雲が発生します。
積乱雲は急速に天気を悪化させ、雷を伴う雨や突風を引き起こすなど大変危険です。

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とはいえ、風が変わることが事前にわかっていれば対策は簡単です。
場所を変えたり、持ち物を変えたり、場合によっては早めに切り上げたり、様々なリスク回避をすればいいのです。


それでも、風の変わり目を予測するのは難しい…

海では風が変わるタイミングや風の変わり目(専門用語で「シアーライン」といいます)を事前に把握することが非常に重要だといえます。

しかし、シアーラインは気温や大気の状態などによって位置が変化しやすく、ピンポイントでの予測が非常に難しいうえに予測が外れやすい現象でもあります。

こうした現象は「点」で捉えるのではなく、「面」で捉えることが大切です。
海快晴では風の分布を面的に把握できるよう、風予報を画像でも表示しています。

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ピンポイントの予報が全く違うと感じられる場合は、風予報の画像でシアーラインが周囲にないかを確認してみてください。

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また、海快晴では「リアルタイム風予報」を新たに搭載し、従来の予報よりも細かく、精度の高い風予報を提供を開始しました。

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リアルタイム風予報も活用して、風が変わるタイミングが予想されていないか確認してみてください。


海専門の予報で安全なマリンレジャーを

海では一般の天気予報以上に細かな気象情報を把握する必要があります。

どんなに久しぶりの海でも、どんなに楽しみな行事でも、危険な目に遭ってしまえば楽しい思い出にはなりません。
「迷ったら行かない」が海では鉄則です。

海の気象特性を理解して、専門の予報を上手に使って、安全に海を楽しみましょう。

文責:株式会社サーフレジェンド 気象予報士 塚本 陸


海に行く際は「海専門」の予報を活用しましょう!
海快晴では1ヵ月無料でトライアルができますので、ぜひお試しください!

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