土用波(台風のうねり)について

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風が吹くと水面には波が立ち、まわりへ広がります。

波には2種類あります。

一つ目は風によってその場所に発生する「風浪(ふうろう)」です。

二つ目は、他の場所で発生した風浪が伝わってきたり、風が静まった後に残された「うねり」です。

この風浪とうねりを合わせて「波浪(はろう)」と呼ばれています。

うねりとなって伝わる波は、遠くへ行くにしたがって波高は低くなり、周期が長くなりながら次第に減衰します。ただし、高いうねりは数千キロメートルも離れた場所で観測されることもあります。

昔から、「土用波」と呼ばれる高波に対する注意を促していました。土用波とは、夏から秋にかけて太平洋に面した海岸に押し寄せる「うねり」のことです。この時期の台風は、日本付近に張り出す太平洋高気圧の周りをまわってから日本に近づくのですが、その前に「うねり」の方が早く日本にやってきます。また、台風が日本に向かってこなくて、「うねり」のみが入ってくることもあります。

一般的に、波が高い時は風が強いというイメージがあるかと思いますが、天気は良くて風が弱くても波が高い時があり、そのときはこのような波長の長い「うねり」が入ってきている時です。

実際に、天気図・台風進路図・海の写真を見てください。

下の写真は2018年9月17日の台風22号のうねりが入っている神奈川県藤沢市の辻堂海岸です。比較するものがないのでわかりづらいかもしれませんが、この時の割れている波の大きさは3~4mでした。
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では、この時の天気図はというと、下のようになります。
2018年9月17日

関東付近は弱い気圧の谷に入っていますが、風が強く、波が大きくなる要素はありません。

この2018年台風22号の進路は下のようになっています。北上して日本に近づいてくることはなく西進し、大陸に上陸して温帯低気圧に変わっています。
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このように台風がはるか遠くにあっても波が高く危険なことがあります。一般的に、台風がはるか南海上に発生して北上し、北緯20度付近に達すると本州~九州の太平洋側にうねりが届くといわれています。なお、2018年台風22号は中心気圧が905hPaまで下がり「猛烈」な勢力にまで発達したこともあり、北緯20度に達しなくても太平洋岸にうねりが届きました。

「海快晴」では、他の気象・海象サイトではあまり見られない「周期」の予想を、全ポイントで確認できるようになっています。また、メニューの「週間予報/天気図/他」→「沿岸予報・週間予報」→「沿岸の風と波」→「風・波画像」→「うねりの周期」からは72時間先、
「週間予報/天気図/他」→「沿岸予報・週間予報」→「沖合の風と波」→「風・波画像」→「うねりの周期」からは168時間先(7日先)までのうねり周期の予報が確認できます。
https://www.umikaisei.jp/weather/windwave/shore/undulation.html?mapid=00000000

https://www.umikaisei.jp/weather/windwave/week/index.html?mapid=00000000

「うねりの周期」予報を確認し、事故の無いようにマリンスポーツ・レジャーを楽しんでいただければと思います。

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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