☆加藤の新春コラム「生かされた私たちが語り継ぐこと」

 「Catch the wave.波伝説」、「マリンウェザー海快晴」のユーザーの皆さま、新年あけましておめでとうございます。

 言うまでもなく、昨年は3.11東日本大震災による過去最大の水の犠牲者と未曾有の被害に見舞われ、被災地のみならず、日本中が深い悲しみに包まれた年でした。

 今年も、復興工事と放射能対策は続きますが、“生かされた私たち”は、この教訓を後世に必ず伝えていかねばなりません。

 日本は、太古の昔から、津波、地震、台風、洪水などの自然災害に見舞われ、より強固な防災対策を講じてきましたが、数百年に一度の大津波に際しては、ハードを中心とした防御には限界があることを再認識させられました。

 そうした中で、“津波でんでんこ”の言い伝えを継承してきた岩手県釜石市の小中学校では、たまたま病欠していた生徒などを除き、生徒・教職員の全員が高台に避難して無事でした。津波が来たら、「たとえ家族でも、てんでんばらばらになっても一刻も早く高いところに避難しなければならない」とする“津波でんでんこ”の教えは、きちんと生かされたからこそ、未来を背負う子供たちの命を救ったのでした。

 年末のTV特番で、釜石市両石町の町内会長さんが語った言葉が忘れられません。

「津波は来るのではない。“津波は襲ってくる”ので、早く高台に逃げねばならない。助けるも、助かるも、鬼となれ!!」

 先月に神奈川県が発表した、東日本大震災を受けて想定し直した湘南の津波高は、従来の3倍の14.4mになりました。日本の海岸線で、大津波に襲われない保証はどこにもありません。沖突堤や大堤防などのハードの対策には限界があることが証明されたいま、釜石の学校で毎月実践され続けてきた津波防災教育は、日本中の家族・地域・学校・会社が、大震災時に命を守るために身につけておかねばならない重要な教えです。

 防災教育の副次的な効果として、自然に対する知識や謙虚さを学び、弱者を大切に思う心を育み、地域や人を守る事故防止の発想は家庭や会社組織にも生かされ、ひいては幸せな地域や国づくりに結びつくと信じています。

 京都大学などが進める長崎県椛島(かばしま)沖での洋上風力発電プロジェクトに、京都大学防災研究所と共同研究開発した弊社独自の波浪解析のノウハウとアーカイブデータが活用されています。

 弊社ができることに限界はありますが、気象情報と防災というソフトを最大限に生かしつつ、産業、レジャー、暮らし、そしてエネルギー対策に、微力ながら貢献して参ります。地域・学校・会社などで、防災気象講習会の開催希望があれば、弊社気象予報士をボランティアで派遣しますので、どうぞ遠慮なくお申し出ください。

 今年こそ、日本の美しい海と海岸線に、住民の幸せそうな笑顔があふれる安全安心な年でありますよう、スタッフ一同心からお祈りしています。

 引き続きのご愛顧とご指導・ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

2012年1月1日

株式会社 サーフレジェンド

代表取締役 加藤道夫

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