春の天気ことわざ

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(巻積雲)

季節や気象に関することわざは数多くあります。

よく知られているものに、「夕焼けの次の日は雨」というものがあります。これは、一般的に天気は西から変化してくるので、日が沈む方向である西の空に太陽を隠すような厚い雲がないと夕焼けになり、その翌日は晴れる、という気象の仕組みに基づいています。

このような天気のことわざで「春」に関するものを検証してみます。

「春に三日の晴れなし」
これは、春は日本列島の上空を流れている偏西風(ジェット気流)が強くなっています。この偏西風により移動性高気圧や低気圧の移動速度が次々と本州付近を通過し、高気圧に何日も覆われることはあまりありません。このため、春の晴天は3日と続かず、天気変化が早くなります。

「四方に雲なきは三日の雨」
「春に三日の晴れなし」と同じ様なことわざです。同じ様な空に雲一つない綺麗な「日本晴れ」が現れた日の3日後には雨が降るという意味です。春や秋は移動性高気圧に覆われたときなので、3日後には移動性高気圧は完全に過ぎ去り移動性の低気圧が訪れていることが多くなります。

「櫛が通りにくいときは雨」
昔は、実際に髪の毛は湿度計のセンサーとしても使われていました。
髪の毛は空気中の湿度を吸ったり吐いたりすると長さや太さが変わります。その変化を利用して現在の湿度を計測していました。
櫛が通りにくいのは、髪の毛が空気中の水分を吸い、伸び・縮れ始めたから。低気圧が近づくと空気中の水分が多くなって南からの湿気を多く含む温かい空気が流れ込み、次第に雨となります。

「鯖雲は雨」
鯖雲とは、魚のサバのウロコのような雲。正式名書は券積雲です。
券積雲は、高度の高い雲の一つで、低気圧の末端として7,000m以上の高度でできます。 券積雲を見かけたら次の日や明後日には低気圧の中心が近づき、雨となる可能性が高くなります。

「月が暈をかぶると雨」
月の周りを淡い光の輪が囲むことを月傘と言います。
月暈は、黄色~白色、もしくは薄い虹色が見えることもあります。月が見える空には氷の結晶である薄い雲が広がっています。この氷の結晶が、ある角度に限定して光を広がせたり、屈折させたりします。その光が集まり、輪のように見えるのが月暈です。
この氷の結晶でできた薄い雲も券層雲です券絹層雲は低気圧接近の前兆となります。このため、数日後には雨になると予想できるのです。

このように、昔から伝わることわざには科学的な裏付けがあるものが多くあります。自然現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測することを「観天望気」といいます。

今後も引き続き、天気のことわざ=観天望気を紹介していきたいと思います。

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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