ご存知でしたか?台風の『名前』

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突然ですが、台風には名前がついているのをご存知でしたか?

台風に伴う大雨や強風、高波、高潮など、災害をもたらすような現象には十分注意する必要があります。
そのため、気象情報では台風の勢力や動向など、防災や減災に向けた情報が発信されます。

そんな台風情報の一角に、台風の『名前』が書かれています。
台風情報

(気象庁HPより)
※この台風情報は最新のものではありません※

2020年の台風第8号は「バービー」という名前みたいですね。

いったい誰が、どうしてこのような名前を付けているのでしょうか?
気象庁のホームページには以下のような説明がありました。

台風には従来、米国が英語名(人名)を付けていましたが、北西太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織である台風委員会(日本含む14カ国等が加盟)は、平成12年(2000年)から、主に下に記すことを目的として、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には、同領域に共通のアジア名として、同領域内で用いられている固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることになりました。

◎国際社会への情報に台風委員会が決めた名前をつけて、それを利用してもらうことによって、アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進すること
◎アジアの人々になじみのある呼び名をつけることによって人々の防災意識を高めること

どうやら、「台風委員会」なるものが「アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進」し、「人々の防災意識を高める」ために名前をつけたようです。

「台風委員会」とは、北西太平洋および南シナ海における、台風防災に関する国際機関です。
「台風委員会」には、カンボジア・中国・北朝鮮・香港・日本・ラオス・マカオ・マレーシア・ミクロネシア・フィリピン・韓国・タイ・アメリカ・ベトナムの計14カ国等が加盟しています。

「台風委員会」に加盟する各国が10個ずつ名前を提案し、提案された計140個の名前を台風が発生した順につけています。
140個目の名前がつくと、再び1個目の名前に戻ります。
台風の発生数は平均で25.6個/年ですので、おおむね5年で名前が一巡するということですね。

なお、台風の名前は繰り返して使用されますが、大きな災害をもたらした台風などは、台風委員会の加盟国・地域からの要請を受けて、その名前を以後の台風に使用しないように変更することがあります。


日本が提案した名前

日本はどんな名前を提案したのか、気になりますね。
調べてみると、日本が提案した名前はすべて星座に由来するものでした。

◆ Koinu
意味:こいぬ座、仔犬。

◆ Yagi
意味:やぎ座、山羊。

◆ Usagi
意味:うさぎ座、兎。

◆ Kajiki
意味:かじき座、旗魚。

◆ Kammuri
意味:かんむり座、冠。

◆ Kujira
意味:くじら座、鯨。

◆ Koguma
意味:こぐま座、小熊。

◆ Kompasu
意味:コンパス座、円や円弧を描くためのV字型の器具。

◆ Tokage
意味:とかげ座、蜥蜴。

◆ Yamaneko
意味:やまねこ座、山野にすむ猫。

かじき座、コンパス座など、あまり聞き慣れない星座もありますね。
次に日本が提案した名前がつくのは台風13号で、「Kujira」のようです


他の国がつけた名前

ここからは、他の国が提案した名前のうち、ちょっと変わったものや面白いものを紹介してみます。

◆ Gaemi (ケーミー)
提案:韓国
意味:あり(蟻)
「台風後は羽アリが大量発生する」という話を聞いたことがありますが、それに由来しているのでしょうか。
どうやらアリは、台風後に一斉に繁殖を行うという性質があるようです(諸説あり)。

◆ Bualoi (ブアローイ)
提案:タイ
意味:お菓子の名前
調べてみると、とても美味しそうなスイーツでした。
タイでは一般的なデザートのようです。
台風で外出できないときに、一家で食べていたのでしょうか。

◆ Noul (ノウル)
提案:北朝鮮
意味:夕焼け
台風一過の美しい夕焼けをイメージしたのでしょうか。
台風の通過後は高気圧に覆われやすくなり、晴れたり気温が上がったりします。

◆ Omais (オーマイス)
提案:アメリカ
意味:徘徊
通常、日本周辺の台風は偏西風によって北東へ移動するとされています。
しかし、なかなか教科書通りに移動せず、時には複雑な動きをします。
「迷走台風」などと称されることもありますが、気象庁のホームページでは、「迷走台風」は「台風が迷走しているわけではないので用いない」と解説され、言い換えとして「複雑な動きをする台風」が示されています。

◆ Nesat (ネサット)
提案:カンボジア
意味:漁師
台風が発生すると、その周辺海域は高波や強風(暴風)により船舶の航行が非常に危険になる場合があります。
漁師のみならず、台風が近くにある際は海に近付くのは控えましょう。



このほかにも、「風神」や「雨の神」、「嵐の神」など、台風に対する畏怖の念に由来する名前も多くありました。
ちなみに、台風8号「バービー(Bavi)」は「ベトナム北部の山の名前」だそうです。


いかがでしたでしょうか。
紹介しきれなかった名前もたくさんあるので、気になる方は気象庁のホームページを確認してみてください!
気象庁ホームページはこちら

文責:株式会社サーフレジェンド 気象予報士 塚本 陸

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