お天気コラム「釣りと雷」

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結論、雷注意報が出ているときは釣りを控えましょう!

釣行時には、強風・高波が危険な要素となりますが、雷も非常に危険です。釣り竿には雷が落ちやすいとされています。これは、釣り竿が細くて長いから。雷は「高い所・高い物・高く突き出た物」に落ちやすい性質があります。釣り竿は、素材にかかわらず、傘などと同じように避雷針の役割を果たしてしまいます。また、長靴は電気を通しづらい絶縁体であるゴムでできているから大丈夫だ、と思う方もいるかもしれませんが、雷の電圧は1~10億ボルトで、絶縁体であっても簡単に電気が流れてしまいます。

この電気の流れやすさという点では、水、特に海水は電気が流れやすくなっています。このため、はるか遠くの落雷であっても、海水を通して電気が流れてくることになります。さらに、雨で濡れた砂浜を通して電気が流れてくることもあります。

ということで、基本的には雷注意報が発表されている時は釣行を控えること。もし海や海辺にいるときに雷光や雷鳴があったら、鉄筋の建物、自動車、電車などの中に非難するようにしてください。

この雷が発生する仕組みです。上昇流が発生すると、空気塊に含まれる水蒸気が水滴になり、さらに氷塊やあられへと発達します。上昇流が続くと、氷塊やあられがぶつかりあって静電気が発生します。このようにして発達した積乱雲の中には電気が溜まっていきます。溜まった電気が放出されると「雷」となり、地上や海上に落ちると「落雷」となります。(なお、地上から空へと向かう「逆雷」「逆さ雷」「雷樹」と呼ばれる現象があります。これは、地上に溜まった「マイナスの電荷」が上空の「プラスの電荷」に向かうことにより発生します。冬の日本海でたまに観測されることがあります。以下動画の3:28ころから見られます)

では、上昇流はどのような時に発生するのか。これはずばり、「大気の状態が不安定」な時となります。大気の安定度は以前に書いてあるコラム「大気の安定度と上空の温度について」http://www.umikaisei.jp/news/?p=45103を参照してください。

これから梅雨にかけては比較的に、雷は発生しづらくなりますが、梅雨が明けて盛夏となると昼過ぎから夕方にかけて雷が発生しやすくなります。(雷が鳴ると梅雨が明ける、なんて言われもします) 真夏の雷は入道雲(積乱雲)によります。太陽光によって地面が暖まり、地面に接した空気も暖まって密度が低くなり、上昇流となります。夏は湿って温かい小笠原気団に覆われるため、空気中の水蒸気量は多くなっています。上昇流とともに水蒸気は水滴に変わって雲を形成し、さらに上昇して発達すると氷塊やあられとなり、雷をもたらすことになります。

海快晴では、各種注意報が確認できて、特に雷注意報は全ポイントに表示されるようになっています。また、この大気の安定度を知る一つの目安として上空500hPa(5,500m付近)の温度を見ることができるようになっています。
https://www.umikaisei.jp/weather/weatherforecast/cold/

情報をきちんと確認して、事故がなく安全に海のレジャーを楽しんでいただければと思います。

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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