『Surfers Paradise GC.Vol.1』

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『海は人を謙虚にしてくれる』『最初はライフガードを仕事とはとらえず、自分達の信念からこの道を選んだ』 今回の旅の中で印象深い言葉を頂いたのは、オーストラリア・ゴールトコースト市のチーフライフガード「ウォーレン・ヤング」氏の言葉でした。 11月下旬、約20年ぶりにオーストラリアゴールドコースト(GC)にサーフトリップしてきました。前回の1991年は、神奈川県のライフセービング交流チームの一員として、南北に連なるGCの中間あたりに位置するカランビンビーチにあるライフセービングクラブハウスを中心に、ライフセービングの講習(ブロンズ=ベーシック)を受け、周辺を視察しました。 9月であったため、GCの気候は肌寒かった記憶があります。今回は真夏なので、トランクスでのサーフィンを期待していましたが、現地のライフガードいわく、『今年は異常気象でおかしい!』と嘆くほどの天候不順で、現地に着いてからの数日間は雨模様で肌寒く、体温の低い日本人はジャージのフルスーツがベターといった天候で、湘南とほとんど変わりありませんでした。(涙) そんな肌寒い海でも、オージーの中にはトランクスでサーフしている猛者がいるのにはいつも驚かされますが……(笑)。私は2mmのロングジョンに1mmウェットのタッパーを持って行ったのですが、肌寒い日にはその二つを重ね着してうまく調節しました。この組み合わせ、結構使えますよ!! 前回は余裕がなくてサーフィンはしなかったのですが、ビーチの右から左側に向かってカレントが強く、200mビーチを走って200m泳ぎ、再びビーチを200m走る日課のトレーニング(Run Swim Run)では、カレントを想定してかなり右側からエントリーした思いがあり、その時は波も良くなかったこともありますが、GCへのサーフトリップについてはそれほど好印象ではありませんでした。それが今回の旅で一変させられました。 サーフィン業界に身を置いているのに、情けないほどに気が付くのが遅かったです。(涙)
スナッパー〜グリーンマウントへと続くFunWave
スナッパー〜グリーンマウントへと続くFunWave
1991年と同様に、今回もまったくライフセービングが絡んでいなかった訳ではありません。むしろ、最大の目的でもありました。神奈川県と相模湾沿岸8市町村とゴールドコースト市との姉妹提携20周年の記念調印式に出席するため、神奈川県の松沢知事と神奈川県議会議員団の先生方が、GCに出張されることになりました。また、GCのライフガードのシステムと実情を学ぶため、半日かけてバーレーヘッズにある同オペレーションセンターを視察し、意見交換することになったのです。そこで県から旅費の助成がないのを承知で、事前に県に承認を得たうえで、GCの公務員であるライフガードと日本(神奈川県)の夏季だけ配置されるアマチュアライフセーバーとの違いを詳しく説明するとともに、年間を通してサーフィンやシーカヤックなどが普及した日本(神奈川県)にも、ようやくライフガードを導入する必要性が高まってきたことを資料にまとめて私がお伝えしたのでした。
ライフガード視察
ライフガード視察
松沢知事とは、今年神奈川県下の海水浴場内の禁煙を条例化する過程で、何度かお話をさせていただいたので、ライフガードの必要性について突っ込んだ話をGC責任者らと意見交換することができました。 以前、県の幹部へのプレゼンでは、『趣味でサーフィンしているサーファーを見守るために、公務員のライフガードを配置することなどできない』とあっさり断言されてしまいましたが……(涙) しかし、今回の知事らへのプレゼンの中で、『県をはじめ地元自治体からの助成を充てにせず、また、ライフガードの業務を監視活動に限定することなく、青少年への海の安全講習や地域への防災指導、マリンスポーツ愛好家への安全・救助・救急法の講習、そして観光案内さえも兼ねることを目的としている』と説明すると、まだまだ調整は必要ですが、松沢知事から、今後実現に向けての協力をいただけることができました。湘南の海を愛する仲間らとともに、独自財源を確保しつつ、徐々にライフガードの配置を進めていきたいと考えています。つづく。

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