暖冬とインド洋ダイポールモード現象について

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この冬は記録的な暖冬となっています。気温が高くて雪が少なく、各地のスキー場からは雪不足の知らせが報告されています。

この暖冬ですが、主に二つの原因があります。

一つ目は、大陸の寒気が南下しづらく、西高東低の冬型の気圧配置が長続きしないため。
通常、冬期には、シベリア付近で寒気が溜まり、この溜まった寒気が日本付近へと南下して、西高東低の冬型の気圧配置となります。今年は、寒気自体はシベリア付近に溜まっているのですが、日本付近へと南下することが少なくなっています。

二つ目ですが、インド洋ダイポールモード現象のため。
この「インド洋ダイポールモード現象」という言葉を始めて聞いた方も多いかと思います。ここからの話は、少し専門的になります。
エルニーニョ・ラニーニャは聞いたことがある方は多いかと思います。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。このエルニーニョ・ラニーニャと同じ様に、インド洋でも西部と東部で海面水温がシーソーのように変動することがあり、これを「インド洋ダイポールモード現象」と呼んでいます。
この「インド洋ダイポールモード現象」で、インド洋西部で海面水温が高い場合、雲が通常よりも活発に発生して上昇気流が強め、日本付近の上空を通る偏西風の流れを北へと変えて、暖かい空気が日本列島を覆うようになります。現在の暖冬は、このインド洋西部の海面水温が高かったために生じていると考えられています。

ただし、このインド洋西部で海面水温の高い状態は終息に向かっているということです。1月一杯は暖冬傾向となりそうですが、2月には例年通りとなる可能性があります。

なお、毎週木曜日の午後2時30分ころに最新の一ヶ月予報が気象庁より発表されます。詳しくは、気象庁HPを参照してください。http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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