お天気に関するコラム『不安定って、どういうこと?』唐澤予報士

唐澤予報士

唐澤予報士
1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

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テレビの天気予報などで「不安定」という言葉をよく聞きます。
気象業界において「不安定」という言葉は頻繁に使われます。この気象・天気予報における「不安定」とは何なのかというと、「大気の状態が不安定」ということを意味しています。

この「大気の状態が不安定」とは一体どういう意味で、具体的に何に注意をすればよいのかを正確に知っている方は多くはないと思うので、説明させていただきます。

「大気の状態が不安定」というのは「上昇気流が発生しやすい」ということを意味しています。
言い換えると、「不安定」とは大気(空気)が鉛直方向(上下)に移動しやすい状態を表しています。

ではどうなると「大気の状態が不安定」になりやすいかと言うと、大気の下層に湿った暖かい空気(暖気)が入ったり、大気の上空に冷たい空気(寒気)が入ったりすると、不安定度が増して大気(空気)が鉛直方向(上下)に移動しやすくなります。


それでは、なぜ「大気の状態が不安定」=「上昇気流が発生しやすい」=「雨や雷などの荒天となる」のかを説明します。

空気塊が地表付近から上空へと上昇すると、上空にいくほど気圧(空気が押す力)が低くなります。

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空気塊に対して周囲から押す力が弱くなると、空気塊は膨張します。膨張すると空気塊の温度は下がります。これを断熱膨張と呼びます。なぜ、膨張すると温度が下がるかというと、「膨張=大きくなる」のに空気塊がもっている熱エネルギーが使われるからです。

さて、膨張して温度が下がった空気はどうなるかという、雲が発生します。空気塊は一定量の水蒸気を含むことができるのですが、気温が高いほど多くの水蒸気を含むことができて、気温が低いほど少ない水蒸気を含むことしかできません。

このように空気塊が上昇し膨張して温度が下がり水蒸気を含みきれなくなると、水蒸気は水滴となり雲となります。

この雲を構成している水滴がくっつき合って大きくなり、上昇気流に耐えられない重さになると、「雨」となって地表へと落ちてきます。

また、水滴は0℃以下となると「氷」となり、「氷」がぶつかり合うと静電気が発生し、たまった静電気が放電されると「雷」となります。

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