オリンピック開幕を間近にした日本セーリングチーム、 各クラス担当コーチからの直前レポート

 英国・ウェーマス日本セーリング連盟・オリンピック特別委員会より、2012オリンピック開幕を間近にした日本セーリングチーム、 各クラス担当コーチからの直前レポートが届きました。

 以下、日本セーリング連盟・オリンピック特別委員会広報より引用。

[7月26日 ウェーマス発]


 五輪セーリング競技会場のここ英国・ウェーマスは首都ロンドンから南南西に220km離れた(東京から静岡県浜名湖付近の距離イメージ)英国情緒漂う古くからの観光リゾート地です。


 今週に入り、当地の天候はそれまでの冷たい雨が続いた日々から一転、爽やかで心地よい初夏の毎日となっています。(26日午後のウェーマス湾:気温23℃、南東の風12ノット・約6m/s)

 去る16日に勢揃いした日本代表選手たちはそれぞれのペースで直前合宿をこなし、練習を続けながら本番開幕に備えています。


 昨日は午前中にマリーナ内のチームコンテナにて選手・コーチ全員の最終確認ミーティングが行われ、夜は選手村に隣接したマルチサポート事業が支援するサポートハウスにてコーチ・スタッフ合同会議が開かれるなど、チームJAPAN全体も開幕を待つ万全の状態となっています。

 明日ロンドンにて開かれる開会式にはRS:X級須長由季、レーザーラジアル級土居愛実の2選手と中村健次代表監督が赴きます。セーリング競技は29日のフィン級を皮切りに始まりますが日本チームの出陣は30日(日本時間:30日20:00)です。

 本日は開幕を前にした代表監督および各クラス担当コーチからの直前レポートをお知らせします。

�@ 選手の調整具合は?

�A 事前合宿で主に留意した点は?

�B 本番への抱負

 また、後段にはチームJAPAN帯同の岡本治朗気象予報士による「大会中の傾向予測」コメントも添付いたしました。

【各コーチの開幕直前レポート】

(中村健次 代表監督)

�@ (重点種目を中心に見ておりましたので、それについて)

470級男女は7月9日からの前入りで、ウェーマスの風に慣れつつ、各国コーチが合同で主催する練習レースにも積極的に参加しレース感を失わない取組みをしてきました。

 後半戦では、レースの勝敗を分けるスタート・ボートスピードの再確認を行い、不安要素が整理できましたので、良い状態になっている事は確かです。

 ※マルチサポート(栄養・ケア・トレーニング・体調把握)の支援のお蔭で、何とかオーバーワークにならずに良い状態を保てています。


�A

・スタートでの成功率を上げるために、選手のスタート前のルーティーンの再確認を行うと共に、ビデオ撮影で改善点を見つけ出し、それを再トライして改善を図りました。

・ボートスピード=チューニングの整理をするためマルチサポート事業であるセール開発スタッフに当地入りしてもらい、GPS・カメラ・解析ソフトなどを使ったパフォーマンス評価を行うことで選手が納得できるチューニングの整理をおこないました。


�B 他のクラスも想定内の調整が進んでいるとの印象を持っています。いずれにしても、本番では選手・チームの「力」を出し切ってもらうことが一番大切なことです。チームJAPAN一丸となって選手をサポートしたいと考えています。

(小松一憲 470級担当コーチ)

�@ 技術面の課題克服を除き、全ては順調です。

�A 男子:スタートのテクニック、コースストラテジー(コース戦略)、波のある海面でのランニングのセーリングテクニック

  女子:微・軽風(3〜6m)のクローズホールドのスピード、波のある海面でのランニングのセーリングテクニック

  最後の最後まで可能性を信じ、上記の課題克服を目標に現在も引き続き練習をしています。

�B 「メインポールに日の丸を揚げる」を目標に頑張ってきましたが、それはチーム結成以来、常に持ち続け、オリンピック開催を目前にした今も変わるものではありません。

(関 一人 RS:X級男子担当コーチ)

�@ 富澤は2回目のオリンピックという事で前回とは違い、落ち着いて調整しています。

�A 力まず、普段通りのレースに向けた調整を心がけました。チャーター艇(支給艇)ですので道具に不安がありましたが、前回とは違い、差が少ないように感じます。

�B 日本代表のウインドサーファーとして、最後まで戦い抜いてほしいと思っています。

(宮野幹弘 RS;X級女子担当コーチ)

�@ 須長は少し疲れがたまっていますが、概ね良い状態だと思います。チャーター艇のチューニングに戸惑っていますが、まだ少し乗り込み時間があるので最終調整をしていきたいと思います。

�A 事前合宿では固定観念をなくし、お互いにコミュニケーションを図りながら、スタート、ボードトリムを重点的に練習しました。ガスティーなコンディションの中でのボードスピードを維持するために、リグ部を動かさないように体の重心移動に注力しました。

�B 五輪前の2国際大会では得意とする強風域の中、シングルを取ることができていることから、得意な風が吹けば確実に上位に入ることがでるはずです。事前合宿での重点課題を肝に銘じて、コースを大きく見ることができればメダルレースに出場し(10位以内)、入賞(8位以内)することもできると考えています。

(関 一人49er級担当コーチ)

�@ 牧野組はこちらに来て調子が良く、順調に調整が出来ています。

�A 一番良いと思っている道具の最終調整及び他国選手とのスピードチェック、ラウンディング練習を重点的に行いました。
�B 2人は日本のみならず、アジア圏の代表でもあります。持ち前の精神力でベストをつくしてほしいと願っています。

(佐々木共之 レーザーラジアル級担当コーチ)

�@ 17日にウェーマスに到着してから時差解消の時間を設けたことで、その後の練習も効率的に進めることができています。目標としていた体格UP(体重)も準備が整いました。

�A 海外選手のパワーセーリングに負けない走り、チームの目標とするミスとロスのないセーリングを追及することです。

�B 五輪海上の風、波、潮流を味方につけ、果敢に挑戦するセーリングを心掛けます。「土井愛実18歳、五輪初挑戦」を全力でサポートしていきます。




【岡本治朗気象予報士の会期中の傾向予測コメント】

 今週はウェーマスにも夏がやってきて温かい日が続きましたが、大会のスタートと共に北から寒気が南下して少し肌寒くなりそうです。これは上空に寒気を伴う低気圧がイギリス付近に停滞するためで、大会前半は西寄りの風が15ノット(7.5m)前後で強弱の大きい日が続きそうです。大気の状態が不安定になって雨や雷雨の可能性も少しあります。雲のできかた、雲や雨が来るタイミングによって風が変化するコンディションが考えられるため、データチェックと共に観天望する日が続きそうです。大会終盤は夏の温かさが戻ってきそうですから、10ノット(5m)までの弱い風でのレースになるかもしれません。

【出場種目・日程・代表選手】

◆49er(フォーティー・ナイナー)級(ダブルハンド) 20か国
7月30日(月)〜6日(月)全15レース

≪4日・7日予備日≫ メダルレース8日(水)

☆ 牧野 幸雄・高橋 賢次組(トヨタ自動車東日本)

◆レーザーラジアル級(シングルハンド) 39か国

7月30日(月)〜4日(土)全10レース

≪2日・5日予備日≫ メダルレース6日(月)

☆ 土居 愛実(慶應義塾大学)

◆ウインドサーフィン RS:X(アールエス エックス)級男子 38か国

7月31日(火)〜5日(日)全10レース

≪3日・6日予備日≫ メダルレース7日(火)

☆ 富澤 慎(トヨタ自動車東日本)

◆ウインドサーフィン RS:X(アールエス エックス)級女子 28か国

7月31日(火)〜5日(日)全10レース

≪3日・6日予備日≫ メダルレース7日(火)

☆ 須長 由季(ミキハウス)

◆470(ヨンナナマル)級男子(ダブルハンド) 27か国

8月2日(木)〜7日(火)全10レース

≪5日・8日予備日≫ メダルレース9日(木)

☆ 原田 龍之介・吉田 雄悟組(アビームコンサルティング)


◆470(ヨンナナマル)級女子(ダブルハンド) 20か国

 8月3日(金)〜8日(水)全10レース 

≪6日・9日予備日≫ メダルレース10日(金)

☆ 近藤 愛・田畑 和歌子組(アビームコンサルティング)

【公式WEB】

http://www.london2012.com/sailing/

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