☆加藤のコラム『映画“ソウル・サーファー”−片腕のベザニーから学ぶこと−Vol.2』

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 この実話を忠実に再現した映画の中で、別の視点から学んだことは、息子や娘が悲劇に遭遇したときに、親はどう対処したら良いのか、の参考にできたことでした。

映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー
映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー


 当たり前なようで皆が理解していないことの一つに、事故や悲劇というのは、事前に読めないからこそ起こるということです。親となったら、子どもを悲劇に合わせぬために、弛(たゆ)まぬ努力と事故防止の工夫を惜しまず、そのうえで万一遭遇したときにはどう対処したら良いかを事前に学んでおくことは大切です。

 同映画では、愛を介する絆は、悲劇の中でも信じられない力を発揮すること、そして、悩み悲しみつつも、親が子どもに心を寄せ続けることで深く傷ついた子どもは家族とともに次第に立ち直れることを、私は学ばせて頂きました。

 私事で恐縮ですが、次女が3歳の時に命にかかわる重い病に倒れたとき、大病院の小児病棟には何年も通い続ける親御さんたちが沢山いらっしゃいました。それらの親御さんは、とても明るく、オロオロするばかりの私たちに、とても温かく優しく接して頂きました。今でも深く感謝するとともに、きっと親御さんたちは、その試練を乗り越える中で、人として大きく成長していたのだと、いまでは考えられます。

 悲劇は苦しくとてもつらい試練ではありますが、その試練を乗り越えるからこそ、人は成長できると信じています。お陰さまで、その後次女は徐々に病から回復して健康体になり、大学を卒業して就職し、プライベートでは好きなトロンボーン奏者としていくつものビックバンドを掛け持ちして充実した日々を過ごしています。

 2007年に、出版された同原作を長女から借りて読んだ際には、まさかこの実話が映画になろうとは思いませんでした。なぜならば、健常者の女優の片手を隠すこと自体難しく、また女優が片手でサーフィンができることなど、サーファーの常識では考えられなかったからです。

 しかし、ノースショアなどでの大波でのサーフィンシーンでは、ベサニー本人が登場して協力し、また最新のCG画像処理を駆使したことで、忠実に実話・原作に沿った描写を見事にこの映画では成し遂げています。

 あくまでも個人的な見解ですが、あの名作「Big Wednesday」を上回る、サーフィンムービー史上はもちろんのこと、ハリウッドによるヒューマンムービーとして、永遠に高い評価を受ける映画の名作として皆さまに推薦いたします。感動すると涙腺が弱い人は、予めハンカチを携えておくことをお勧めします。これは私の実話ですが……(笑)

 3.11を受けて日本のみならず世界中が、海・大津波の脅威に慄(おのの)き、海への関わり方、楽しみ方に、まだ戸惑っています。しかし、この映画を見終えたいま、人は悲しみ・苦しみを必ず乗り越えるための“あきらめない”強い力と強い心を持っていること、そして、その力を発揮する際には、必ず家族や友人らによる強い絆とサポートが大切なことを学び、そのうえで海の素晴らしさ、サーフィンの魅力を再確認できました。

 人は、悲劇を感動に昇華(しょうか)できることを、映画を通してベサニーとそのファミリーから学びました。

 6月9日から全国の映画館でロードショーされます。愛する家族や友と一緒に、ぜひご覧ください。(了)

映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー

公式サイト:http://disney-studio.jp/movies/soulsurfer/

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