☆加藤のコラム『映画“ソウル・サーファー”−片腕のベサニーから学ぶこと−Vol.1』

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 人は、悲劇を乗り越えて活躍したときに、運が開け、日常では決して得られない大きな喜びに浸ることができるのかもしれない。きっと神さまが良く頑張ったと、“ご褒美(ほうび)”をくださるのでしょう。

 2003年秋、常夏のハワイでも緑が多くて風光明媚(ふうこうめいび)なカウアイ島の海で、友達と楽しくサーフィンしている最中に突然タイガーシャークに襲われて、片腕を失いつつも奇跡的に助かった少女『ベザニー・ハミルトン(当時13歳)』。

 この衝撃的な出来事は、ニュースで全米に配信されたものの、その数か月後には、その少女の続編ニュースが世界中を大きな感動の渦に包みこむことになるとは誰も思わなかったはずです。

映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー
映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー


 事故が起きる前は、プロサーファーを目指して大会でも活躍していたベザニーでしたが、片腕になってもサーフィンへの情熱はまったく失っていませんでした。

 肩から先の左手が切断された大きなハンディーを背負いながら、13歳の少女とは思えないサーフィンを復活させたい強い気持ちと、家族や親友の温かいサポートによる厳しいリハビリを克服して、事故からわずか1か月後にはサーフィンを復活させたのでした。そして驚くべきことは、3か月後にはかつて活躍していたショートボードのサーフィン大会に出場し、予選を勝ち上がり、見事決勝に進出して上位入賞を果たしたことでした。

 生命の危機に陥るくらいの悲惨なシャークアタックに遭遇し、本来ならば心身、特に心に大きなハンディキャップを背負って、海、とくにサメへの恐怖が消えないはずなのに、3か月後には見事サーフィン大会で入賞してしまったのです。大人でも成し得ないような復活劇を、13歳の少女が成し遂げたのです。実話であることが、映画の感動を数倍までに高めています。

 パドリング、沖に向かう時にサーフボードのレールをつかんで波をやり過ごすドルフィンスルー、波をつかんで立ち上がるときのテイクオフ、すべて動作をサーファーは“両手”で行います。両手でも強い筋力とバランスが要求されるのがサーフィンですが、さらに高いスキルと努力が要求されるサーフィン大会において、重大事故からわずか3か月後に、片腕で出場を果たして入賞してしまったのです。

 サーフィンを復活させただけでも信じられませんが、その後も数々の大会で活躍し、今ではプロサーファーになったベザニー・ハミルトンの人生の歩みを知ると、自分はどれだけ情けなくちっぽけな人間だと分からされるし、もっと残された人生にチャレンジしないといけないと叱咤激励されているようです。

 映画の中で、大会表彰後にいじわるな記者から、『もしも可能であれば、かつてのような姿(両手)に戻りたい?』の質問に、正確ではありませんが、ベザリーはこんな風に答えていました。『私の(頑張る)姿勢が、世界中の子どもたちを勇気づけられるのであれば、このままで問題ない』と。つづく。

映画『ソウル・サーファー』6月9日(土)全国ロードショー

公式サイト:http://disney-studio.jp/movies/soulsurfer/

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