海水温と釣果の関係について

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(気象庁HPより)

釣果に大きく影響する要素として海水温があります。海水温により、魚の食いや活性が大きく変わってきます。冬場の釣りは厳しく、春や秋のほうが釣りには適していると感じている方も多いのではないでしょうか。

なぜ、海水温によって魚の活性が変わるのか。それは、魚が変温動物だからです。(マグロやカジキは特殊な血管構造によって高い体温と運動能力を確保しており、厳密にはすべての魚類が変温動物ではありませんが)

一般的に、体温を一定に保つ恒温動物は、周囲の温度変化にたいして体温調節するために多くのエネルギーが必要になります。熊などのように、エネルギー補給の食料が無いため冬眠する動物もいます。

一方、変温動物の魚はどうなっているのでしょうか? 海水温が下がると、変温動物である魚の体温も下がります。そのことにより、代謝機能や消化機能も低下します。従って、餌を食べる必要もなくなってしまいます。反対に、海水温が上がると代謝機能・消化機能が活発化し、エネルーが必要になり、餌も多く必要となります。なお、海水温が上がり過ぎるのも良くありません。水温が低いほど飽和溶存酸素量は多くなり、水温が高いほど飽和溶存酸素量は少なくなります。水中の酸素をエラから取り込んで呼吸をしている魚は、水温が高くなって酸素量が少なくなると酸欠状態に陥り、正常な捕食活動が行えなくなります。

このような理由により、魚の活性は海水温によって大きく変わり、釣果に大きな影響を与えます。なお、魚種によって適した海水温があります。

また、海水温の変化も重要です。魚の温度に対する感覚は人間の10倍程度だといわれており、海水温の1℃の上下は、我々にとっての気温10℃の上下に相当するらしいとのことです。水温の変化があると、魚の活性も大きく変わってきます。(ただし、数日たつと魚は温度に変化に慣れるそうです)

よって、釣行時には、当日の海水温を確認するだけではなく、前日と比べて海水温に変化があったかを確認することをお勧めします。

海快晴では、人工衛星とブイ・船舶による観測値から解析された海面水温および前日との差を提供しています。ただし、沿岸付近や水深の浅い所では、日射の影響や降雨によって流れ込む河川からの水によって温度が半日単位で変化することがあります。アメダスなどで直近の降水状況を確認することもお勧めします。
https://www.umikaisei.jp/weather/amedas/rainfall/index.html?prefecture=17

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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