『Maui Stand Up Surfing.vol.3』

キヘイのケアワカビーチで、ステイ先オーナーのヒロさんと奥さまのカナさんの指導のもと、ドナルドタカヤマの10’7 SUPボードで初めてスタンドアップを体験しました。余談になりますが、ヒロさんが日本の実家(横浜市金沢区富岡町)に戻っていたとき、新婚婚当時の私はヒロさんの家からわずか300mしか離れていない場所で暮らしていたのです。かつての富岡海岸(2人とも小中学生の時代)はアサリがよく捕れ、マッチさえ持参すれば、流木を集めて浜でアサリを焼いてお腹を満たせた共通の話で大いに盛り上がったのでした。本当に世界は狭いし、海は必ず水を介してつながっていますね〜。

SUPはパラレルスタンス(前向き)で立つので、サーフィンとスタンスは異なりますが、波に乗ってからはタンカー(デカイロングボードの愛称)に乗るサーフィンのライディングと何ら変わらないので別に違和感はありませんでしたが、波に乗るまでが大変でした。(汗)

ちょっとした小波や方向転換時にバランスを崩し、ワイプアウトを20回くらいはしたでしょうか?(涙)自転車や一輪車に初めて乗ったときと同じで、頭で考えているようではスムーズなクルーズはできません。
ある空手の師範は、これを身体脳と言っていますが、脳ではなく数十億個の全身の細胞が無意識に反応するようにならなければ、リラックスしたクルージングはできないのです。何とか数本は波に乗れましたが、波をつかむ時の素早い方向転換とパドリングに苦労し、終わったときには全身に激しい疲労を感じました。しかし、少し続ければ必ず楽しめるレベルになるであろうことを実感しました。近いうちに、職場か自宅にSUP一式をそろえたいと考えています。

最近の鎌倉は、沖でルアーフィッシングするSUPは珍しくありませんが、混雑しているサーフポイントの中でSUPサーフィンするのは上級者のみに限られます。なぜならば、ロングの倍の厚さでボリュームのあるSUPのボードは、ワイプアウトするとインサイドにいるサーファーに大変危険だからです。

もしもキッズの頭にでも当たれば生死に関わります。また、オアフ島の多くのサーフポイントでは、ロコがかたくなにスタンドアップサーフィンを拒んでいるとも聞いています。サーファーとスタンドアップの共存は、日本でも結構厳しい面があるでしょう。しかし、海にサーファーが誰一人入っていないようなプアーコンディションの日でも、SUPがあれば大いに海やサーフィンを楽しめるとともに、サーフィンのためのトレーニングや体調維持にはかなり効果的です。

材木座や逗子海岸の海の近くに艇庫を借りているウィンドサーファーらに一気に普及したのも、単に楽しいだけではなく、フィットネス効果が認められるからでしょう。宿のヒロさんは、散歩に出掛けるように毎朝ひとりでSUPに行っていました。ちなみにヒロさんはダイバーマスターで、サーフィンは40歳から始め、いまはSUPにすっかりハマっています。

マウイ島は、ほぼ毎日午後から風がドン吹きになる島なので、昔からホキーパなどではウィンドサーフィンのウェイブが盛んで、かのジェリー・ロペス先生もしばらく住んで、サーフィンとウィンドを両立させていたのは有名な話です。

まだ、SUP用のボードデザインの進化が著しいので、スタンドアップの結論を出すのは早いですが、個人的な意見としては、サーフィンが厳しい時には最適なサーファーのスタイルだと思うし、ルアーフィッシングを合わせればお金をかけずに自分のポイントで釣りを楽しむことができます。また、ライフセービング的に考えると、視線が高い位置から監視活動ができるSUPは、マリンジェットのように騒音や排気ガスを出すことなく、海水浴客に優しく接することができ、とても有益性が高いと考えます。

まだ、世界のどこのライフガードも採用していませんが、私は採用されるのは時間の問題だと考えていますし、すでにマカハのブライアンが試行しているとの情報も入ってきています。

最後に、日本での普及に多少支障となるのは、スタンドアップサーフボードの保管と運搬でしょう。海沿いに住んでいる人はもちろんですが、海岸近くのサーフショップが保管庫を拡充したり、レンタルボードを用意したり、SUPツーリングを企画運営したり、サーファーがよく使う駐車場などに併設されるようになれば、マウイ島のように一気に普及するはずです。

すでに市民権を得てポピュラーとなったマウイ島では、ボードの価格低下が進んでいました。ロペス先生の板であっても、旧モデルのセール品ならば1000ドルを切って(9万円くらい)いるのが普通でした。日本でも12万円くらいでビギナー用のSUPの板が買えるようになれば、普及は一気に進むと思います。以前の私のように、日本では興味のないサーファーも多いかと思いますが、まずは体験してみてください。きっとその無限の楽しさと心地よさ、そしてフィットネス性を実感するはずです。SurferからWatermanに、新たな世界を開くSUPの発展を確信したマウイ島滞在でした。(了)

●Maui Days
http://www.mauidayz.com/

 

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