黒潮が大蛇行の可能性

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気象庁は、きのう30日、黒潮が今後大蛇行となる可能性があると発表しました。黒潮の流路の変動は、船舶の運航や漁業に影響があるほか、潮位を上昇させ、沿岸での低い土地では浸水などの被害が生じる可能性があるため、注意が必要ということです。

黒潮は、東シナ海を北上して九州と奄美大島の間のトカラ海峡から太平洋に入り、日本の南岸に沿って流れ、房総半島沖を東に流れる海流です。流速は速いところでは4ノット(2m/s)以上に達し、その強い流れは幅100kmにも及びます。

 

本州南岸の代表撃な黒潮流路

本州南岸の代表撃な黒潮流路

 

気象庁では、本州南岸の黒潮が以下の2つの条件を共に満たした場合に「大蛇行」と判定しています。
・潮岬で黒潮が離岸した状態で安定していること
・東海沖で黒潮流軸が北緯32度より南に位置していること

現在、黒潮は、紀伊半島から東海沖で大きく離岸し、北緯31.5度、東経137.5度付近まで南下しています。熊野灘から東海沖には、黒潮から分かれた暖水がみられ、紀伊半島東岸の潮位が通常より10~20cm高くなっています。

 

8月29日の深さ50cmの海流分布図(単位:ノット[1ノットは約0.5m/s])

8月29日の深さ50cmの海流分布図(単位:ノット[1ノットは約0.5m/s])

 

今後、黒潮の流路は、東海沖の北緯30.5度、東経139度付近までさらに南下し、大きく離岸した状態は10月上旬でも継続している見込みで、2005年8月以来の大蛇行となる可能性があるとのことです。

黒潮の流路の変動は、船舶の運航コースを左右し、燃料代など経済的な影響を及ぼします。また黒潮の流路によって海面の水温が大きく変わるため、漁場の位置にも影響を与えます。さらに、潮位が1年で最も高くなる時期が夏~秋であることと、黒潮流路の変動によって東海~関東地方の沿岸で潮位が上昇することにより、沿岸の低い土地では浸水などの被害が生じる可能性があります。そして、台風や低気圧が接近した場合は、さらに潮位が高くなるため、より一層の注意が必要となります。このため、沿岸の地域では、気象台から発表される潮位情報等に留意してほしいとのことです。

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