☆加藤のコラム『メンタワイGT伝説Vol.3』

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 ボートトリップの後半のある夕方のこと、再びランスライト(HT)にボートを停泊しつつ、我々はFunWaveをサーフしていましたが、北村船長と西世古プロ、そして今回は見学するために横田社長が加わり、大物狙いのキャスティングに出かけて行きました。



 HT周辺が暗くなり始め、前回よりも釣りに出かけた時間が経過していたので、今回は釣れなかったかな!?と誰もが思い始めたころ、ディンギーボートがかっ飛んで帰ってきました。その船上は、ただならぬ騒ぎと笑顔に包まれています。横田さんが大きな○印のサインを頭上に高々と掲げて、西世古プロと北村船長は片手を高々と何度も上げて何か?雄叫びをあげています。こりゃもしかしたら飛んでもない大物が釣れたのでは……!?


大物GTが釣れて大興奮!!手前の横田さんはTシャツを脱がされたまま
大物GTが釣れて大興奮!!手前の横田さんはTシャツを脱がされたまま



 夕方のサーフィンを終えて、すでにBintanBeerをプシュっとやっている我々仲間たちも興奮してきました。実際に釣り上げた大物の魚は、その想像をはるかに超えるとんでもない大きさのGT《Giant trevally、日本名ロウニンアジ、地方名として、メッキ(若魚)、ヒラアジ/エバ(各地)、マルエバ(各地)、カマジャー(沖縄)、ガーラ(宮古島)などがある》でした。



 この大物GTを釣り上げたのは、7kgの鯛に引き続き、大物釣りのプロである北村船長でした。その日は、まったくヒットすることなく、先に大物の鯛を釣り上げたポイントで、これが最後となるキャスティングをしたところ、ガツン!!といきなり強い当たりがあったそうです。そのポイントは深くはないので、魚に珊瑚礁の下に潜りこまれたらラインが切られてしまうので、一気に釣り上げねばならなかったそうです。およそ5分間くらいの格闘のすえ、いよいよ大物のGTが姿を現した時に、まさかの大トラブルが発生したのでした。



 ディンギーのインドネシアのドライバー“ブジャン”に、北村船長が『Gaff(ギャフ)!!』と叫んだところ、慌てうろたえて返す言葉は、なんと『No Gaff!!』。『なに〜!?、マジで〜!!』と、北村船長と西世古プロが、大物釣りのフィッシングボートでGaffを忘れてくるドライバーにあきれてしまいましたが、そこは百戦錬磨のメンタワイサーフボートのベテランクルーのブジャンでした。



 最初自分のTシャツを脱ごうとしたところ少し悩んでから、たまたま釣り見学に乗船していた横田さんに指図して、『お前のTシャツを早く脱げ!!』。何が何だか分からないままにTシャツを脱いでブジャンに渡したところ、ブジャンはTシャツを軍手のようにして、大物の魚のシッポの前のくびれた部分に巻きつけて掴みあげたのでした。魚は激しく暴れたそうですが、誰もケガすることなく、ディンギーの中に無事に捕りこまれたのでした。


わずか5分間で釣り上げた北村船長と巨大GT
わずか5分間で釣り上げた北村船長と巨大GT



 今回北村船長が持参した秤(はかり)の限度重量は25kgでしたが、あるサイトで39kgのGTの写真と見比べたら、今回のGTの方がひと回りも大きい感じがしたので、実際はもっと重かったに違いないと私は信じています。秤が振り切れて25kgをさしたと思います。何しろ、腕自慢の西世古プロや北村船長が、まともに担げられない位のずっしりとした重さが証明しています。まあ25kgとしても、十分にデカくGT伝説として記録に残るような大きさであることには変わりありませんが……。



 とにもかくにも、私はキャスティングで釣り上げた魚の中で、先に紹介した7kgの鯛だけでも衝撃だったのに、今回の巨大GTには本当に度胆を抜かされました。

 昨年は、私がビギナーズラックでキロオーバーのアオリイカを釣って、“イカ伝説”を作らせていただきましたが、今年のGT伝説の記録はおそらく当分は破られないと思います。ひそかに、今回大物をすべて北村船長に釣られてしまった西世古プロが、リベンジを計画しているとは思いますが……(笑)



 あとで北村船長に、下世話なことながらGT専用ロッド、リールはお幾らくらいかかるのかを聞いたところ、どちらも8万円くらいで、ホッパー(ルアー)は5千円くらいなものの、PEライン(道糸)だけで1万円はするとのことでした。北村船長は、今回5本のロッドとリールを持ち込み、用意したペンシル型やホッパーなどのルアーの中にはひとつ1万円以上するものもあり、すべてを合計するとかなりの高額になることが理解できました。釣りでも大物釣りとなると、結構お金がかかる趣味になるようですね。



 なお、あるとき北村船長が面白いことを言っていました。それは、サーフィンとフィッシングは、ある部分で面白いほど似ていると言うことです。まず、シークレットにはローカルがいて、その場所の写真は出してはいけない不文律があるそう。

 たとえば、ブログなで写真が公開されてしまうと、背後の岩や景色などで、シークレットポイントが日本のどこなのか、分かる人には分かってしまうそうです。また、シークレットポイントは、簡単に他人には教えないそうです。もしも釣り人が増えれば、場荒れして魚が少なくなってしまうからだそうです。サーファーとアングラー、とても似ていますね。



 『メンタワイGT伝説Vol.4』へつづく

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