日本財団「海と日本人」に関する意識調査 2024

survey_img16-1

日本財団は、7月15日の「海の日」を前に、海に関する意識調査を実施し、その結果について発表いたしました。

この調査は、2017年より2年に一度実施しており、四方を海に囲まれ、海の恩恵を受けて生活をしている日本人が海に対して持っている意識や行動の実態を明らかにすることを目的としています。

4回目の調査となる今年は初の小学生親子調査も実施し、調査結果からは、海への愛着度や興味関心等が全体的に低下していることが判明した一方で、若い世代の海への興味関心は高いということが明らかになりました。

これを受けて日本財団常務理事の海野光行が「小学生の75%が海に行きたがっているが、子どもの体験というのは社会経済的状況に影響を受けるものである。

体験格差をうめるべく臨海学校のプログラムなどをはじめとした公立学校や地域との連携を促進する活動により力を入れていきたい」とコメントしました。


「海離れ」という現象について

・気持ちや感情の上での「海離れ」が明らかになった
・「海が大切だ」と考えているが、行動につながっていない
・タイムパフォーマンス意識が、海を遠ざけている


情報接触の仕方が、海との距離感を生み出す

・「フィルターバブル」が海離れを加速させている
・海の問題と自分の生活につながりが見出せない
・新たな海のイメージを提示することが必要

コアターゲットとしての若い世代への期待

・高校生は、全世代の中でも海への関心が高い
・小学生は、75%が海に行きたいと思っている
・20代、30代の海への意識が低く、子どもへの影響も

結果は以下の通りとなりました。(一部抜粋)

「大切」であると認識しながらも、好意度は下がっている。

「海は大切な存在だ」の回答は約7割。一方で「海が好きだ」の回答は約4割。
2022年比8%減少、2019年比13%減少。

survey_img16-2

海に行かない理由は、タイムパフォーマンスの観点で海へ行くことに合理性が見出せないから。

普段の行動や考えとして「なるべく時間を効率的に使いたい」が7割と高く、余暇の過ごし方で「海に行く」との回答は22位で全体の7%。多忙な現代では、人々の行動はタイムパフォーマンスなどを意識し合理的になされる中で、海が余暇の対象になっていないと考えられます。

survey_img16-3

「海のイメージ」は多くの世代で「海水浴」や「砂浜」に偏る。

海が余暇の過ごし方の選択肢になっていない理由として、海水浴のように時間や手間のかかるイメージが強いのではないかと推測されます。新たなイメージを提供することで、タイパ意識の高い人への訴求力を高め、「海に行く」という選択肢(発想)につながる可能性があります。

survey_img16-4

※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析(https://textmining.userlocal.jp/

海への愛着度や興味関心等が全体的に低下している反面、高校生の海への意識は高いということも以下のように判明しました。

高校生は全体に比べて海に対して前向きな意識を持っており、実際訪問している。

「海が好きだ」「海に行きたい」「1日以上海へ行った」の各項目は、全体より高くなっています。

survey_img16-5

また、全体に比べて「様々な媒体から情報を入手」「SNS等で自分の行動や意見を発信」など、高校生は積極的に学び、行動し、発信しているため海の活動の協働パートナーになり得えます。

survey_img16-6

そして、今年初の親子調査では、子どもが「海に行きたい」という海への高いニーズがあることがわかりました。一方で、子育て世代である20代、30代の海への意識は低く、子どもへの影響も推測されます。

小学生は、全ての年代と比べて一番海に「行きたい」が、実際に行けている割合が少ない。

75%の小学生が海に「行きたい」。全世代の59%、高校生の68%に比べても高いが、直近1年間で1日以上海に行った小学生は60%と、「海に行きたい」に対して低い。

survey_img16-7

習い事をしている⼩学⽣の⽅が習い事をしていない⼩学⽣に⽐べて、直近で1 ⽇以上海へ⾏った割合が、13pt ⾼い。

survey_img16-8

特に子育てを担う親世代である20代・30代に無知や無関心が多い。

「海水温が上がることで、魚が獲れる場所が変わってきている」などの海洋問題の認知度を年代別でみると、全体に比べて子育て層の30代女性は11pt低い。

詳しい調査結果は、こちらからご覧ください。
「海と日本人」意識調査結果

▼調査について

<1>調査手法:インターネット調査

・調査対象者:日本国内に居住する15歳〜69歳の男女個人
・回収サンプル数:合計 11,600
・調査期間:2024年5月10日~14日
<2>調査手法:小学生親子調査

・調査手法:インターネット調査(親から子どもへのヒアリング)
・調査対象者:小学生(男女)とその親
・回収サンプル数:合計 2,000
・調査期間:2024年5月10日~13日


過去の調査結果はこちらよりご参照ください。

2017年:https://www.nippon-foundation.or.jp/media/archives/2018/news/pr/2017/img/31/2.pdf
2019年:https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/07/new_pr_20190708_01.pdf
2022年:https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2022/07/new_pr_20220715_01.pdf


「海と日本人」に関する意識調査について

世界的に海洋危機が叫ばれる中、現在の日本人の海への意識、行動の実態を明らかにすることで、日本人と海との関わりにおける課題を抽出し、今後の海との関係性向上に貢献することを目的に2017年より2年に1回、定点調査として実施。2024年は4回目の発表。

日本財団について

痛みも、希望も、未来も、共に。
日本財団は、1962年の創立以来、国境や分野を超えて子ども・障害・災害・海洋・国際協力などの公益事業をサポートする、日本最大規模の財団です。

https://www.nippon-foundation.or.jp/

掲載元 「海と日本人」に関する意識調査 2024

https://uminohi.jp/research/survey16.html

最近の記事

関連する記事