☆加藤のコラム「被災地からのレポート�D-1」

192_2.jpg

  今回の被災地リポートは、移動中や待機中の車内から携帯で送ったので、分かりづらい表現や配慮の足りない表現が多々あったと思います。お詫びするとともに、書き忘れた大切なことがありました。

  話は前後しますが、仙台で星さんが語っていたことで、大震災による混乱で口コミによる間違った情報、いわゆるデマについてです。大震災以来、仙台では確かに停電によるセキュリティーの機能停止に乗じて、商店や住宅を狙った泥棒が増えて、治安がとても悪くなっているそうです。熊谷素子さんが怒っていたのも、停電で本来は営業できないはずのスーパーが、被災者のことを考えて何とか営業してくれていたのに、夜間に泥棒に入られて、銀行が休業したためにたまっていた売上金1000万円が盗まれたことでした。地域や人の災いに乗じて盗むなど、到底許されることではありませんが、どの国、都市にも悪人は居ます。しかし、星さんが強く言うのは、震災時などのウワサは信憑性(しんぴょうせい)に乏しい、または間違った情報が多いので、自分は絶対に信じないということでした。世の中が混乱すると、情報が錯綜(さくそう)することを、我々は目に見えない放射能の拡散で混乱・孤立化した福島の病院内で、嫌というほど経験していたので、とても納得できるものでした。

  また、阪神大震災などの災害ボランティアでの経験が生きたことは、避難所を統括する市役所や市の職員も被災者本人であり、家族や家の心配をしながら従事しているので、判断や指示を間違える、また言動が荒くなることが往々にしてあるということです。被災していない、心にゆとりのある外部のサポートが必要なのです。

  以前から提案していることですが、300km位以上離れた同規模の市町村とは、日ごろから強い災害支援協定を結んでおき、救援物資の速やかな提供、入院患者や老人ホームの高齢者、孤児院など、弱者の被災者の一時的な受け入れ、そして、医療関係者、市役所職員、教員を即刻被災地に送り込む体制を組んで欲しいことです。

  特に市役所職員の派遣は、混乱した市役所運営に大きな助っ人となり、重要な支援につながると確信します。また、派遣された市職員は経験できない貴重な経験を積み、万一自分の市町村が被災した時には、その経験がとても役立つはずです。市役所の管理職、新入社員には、ぜひ検討して欲しいものです。

  大変前置きが長くなりましたが、これが被災地リポートの最後になります。

 決して行きたくもないのに、道路の陥没やひび割れなどの通行止めによる迂回(うかい)や、制止するはずの警察官さえ居なくなっていたために、我々は誤って福島原発に最接近してしまったのでした。

第二原子力発電所入口の信号、今回もっとも緊張したシーン
第二原子力発電所入口の信号、今回もっとも緊張したシーン




  しかし、付近で放射能漏れの中、雨合羽のみで道路補修にあたっていた作業員の方に、脱出ルート!? を教えていただき、何とか常磐道までたどり着けました。なぜ、雨合羽とマスクのみで道路の補修作業をしていたのか分かりませんが、危険な作業にも関わらず、献身的に従事した多くの日本人の高い“志”に、心から感謝いたします。

  今となっては笑い話で済みますが、原発のすぐ近くまで接近したことは、今回の旅の中でも一番緊張したシーンでした。常磐道のサービスエリアで、3人の無事を祈って、ホットコーヒーでしたが乾杯しました。



つづく

最近の記事

関連する記事