風速(平均風速・最大風速・瞬間風速・最大瞬間風速)について

15風_人への影響

(気象庁提供)

日本国内において用いられる風速は、実は4種類あります。

それは、「平均風速」「最大風速」「瞬間風速」「最大瞬間風速」です。

天気予報で単に「風速」という場合は、「平均風速」を指しています。「平均風速」は、「10分間の平均の風速」と定義されています。

皆さんの多くが経験していると思いますが、風は一様の強さで吹いているのではく、強弱をしながら刻々と変化します。この刻々と変化している風速のうちで強いものが「最大風速」「瞬間風速」「最大瞬間風速」として表現されます。

では、「最大風速」「瞬間風速」「最大瞬間風速」の違いがわかる方はいますでしょうか? きちんと説明できる方はかなり少ないかと思います。(私も気象予報士試験を受けた時にはしっかりと覚えていたのですが、合格から20年以上たった今ではあやふやになることがあります……。)

まずは、「最大風速」です。これは「10分間平均風速の最大値」となっています。気象庁のアメダスや気象官署では、地上約10mの高さで風速を図っており、0.25秒ごとに更新されます。このように更新される風速の10分間の平均である「平均風速」のうちでの最大値が「最大風速」ということになります。

続いて「瞬間風速」です。これは、0.25秒間ごとに更新される測定値の3秒間(12サンプル)を平均した値となります。

そして、最大瞬間風速ですが、 「瞬間風速の最大値」となります。

このような説明では、わかりづらいかもしれないので、例をあげてみます。

例えば4月7日午前10時の「平均風速」とは、午前9時55分0秒から午前10時5分0秒の10分間で0.25秒ごとに計測した2400個の風速の平均値ということになります。

続いて「最大風速」ですが、4月7日午前9時の平均風速が8m/s、同日午前10時の平均風速が12m/s、午前11時の平均風速が8m/s、同日正午の平均風速が5m/s・・・のようになっていたら、4月7日の「最大風速」は12m/s、ということになります。

そして、瞬間風速と最大瞬間風速です。最大風速を記録した時間内においての0.25秒間隔での風速が「11m/s、11m/s、12m/s、17m/s、12m/s、11m/s、11m/s、10m/s、11m/s、13m/s、12m/s、13m/s・・・」のように刻まれていたなら、最大瞬間風速は「17m/s」で瞬間風速は(11+11+12+17+12+11+11+10+11+13+12+13)÷12の「14m/s」ということになります。

風速といってもこれだけの種類と違いがあるということになります。

そして、知っておいて欲しい言葉があります。それは「突風率」です。

突風率とは、ある時間内における「最大瞬間風速」を「平均風速」で割った値のことです。一般には1.5~2.0となっています。簡単にいうと、「平均風速」の1.5~2倍の強さで「最大瞬間風速」が吹く、ということになります。

従って、「あすの午前9時の風速は6m/sです」となっていても、平均風速は6m/sですが、1.5~2倍の強さとなる9~12m/sで最大瞬間風速が吹くこともある、ということになります。

ヨットやウィンドサーフィンでは、このたまに吹く強い風(いわゆるブロウ)を上手に利用する必要があります。一方、小型船舶は風の影響を受けやすく、乾舷が小さいことから転覆といった要因から事故に至ることもあるので、突然の強い風に注意が必要となります。

海快晴で発表している二つの風予想のうち、気象庁予報である「MSM+GSM」は「平均風速」、独自予報である「WRF」は「瞬間風速」に近似する傾向があります。二つの風予報を上手に使い、安全で楽しく海のレジャーを過ごされてください。

文責 株式会社サーフレジェンド 気象予報士・防災士 唐澤敏哉

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